<5>「BCP活用」を阻む3つの課題…大企業は8割策定も運用はイマイチ
災害が多発する日本では、個人の防災だけでなく、企業としての備えも重要だ。その中心にあるのが、近年クローズアップされているBCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)だが、必ずしも十分活用されていない。これをチェックしよう。
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災害を想定した企業の取り組みは、従業員を守り、施設・設備の被害を最小化する「防災」が主流だった。BCPは、そんな企業の防災の取り組みを一歩進め、従業員や施設・設備の安全を確保する取り組みと同時に、自社の事業、特に重要な事業を①なるべく中断しないように②万が一中断した場合は少しでも早く元に戻せるように、事前に準備する対策のこと。この事前対策があって、発災後の戦略的な対応につながるのだ。
企業経営の大きな目的の一つは、利益を出すことであるため、災害で倒産しては元も子もない。災害での倒産を防ぐと同時に、社会的な貢献や責任を果たすことも求められる。その2つを両立するには、防災という視点だけでなく、ビジネス(事業)の継続という考え方が不可欠だろう。それがBCPの前提になっている。