東京五輪とコロナの二重苦でどんどん追い込まれる中小企業の苦悩
オリンピックとコロナ――二重の苦悩が始まったのは、東京・豊洲で飲食店を経営する大山仁一朗さん(55歳=仮名)。
「オリンピックは盛り上がっていますが、緊急事態宣言で酒類の販売もできません。本来なら入ってくるべき収入が入ってこないわけです。だから無観客開催が決まってすぐに倒産の手続きを始めました。ただ店を閉めても、昨年6月に返済猶予1年で借り入れたお金の返済は残ります」と肩を落とします。
大山さんのようにコロナ対策の融資がピークだった昨年6月に借り入れた人は、その分の返済が始まっているのです。そのうえ、仕入れ・配達用に購入した自動車や、厨房用機器のローンもあるそうです。こうした製品を売却しても、購入金額の半額以下にしかなりません。手元資金は融資返済にまわすしかなく、家賃や生活費の見通しも立たないと嘆きます。
■支援策は複雑で分かりにくい
政府はいろいろな制度により支援しようとしていますが、複雑で分かりにくいです。