「ジャックポットプランニング」社長・中川洋さんの巻<2>

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NEW YORK GRILL(東京・新宿)

 オイスターバーの「Jack Pot」をはじめ数多くの業態をヒットさせている業界の重鎮は今も勉強に余念がない。ホスピタリティーのよさをスタッフに学んでほしくて勉強に訪れるのが、この店だという。

「西新宿にあるパークハイアット東京の最上階にあるグリルの店です。あちこちで絶賛されている通り、料理もサービスもすばらしい。ウチの幹部スタッフの昇進祝いなどに、その接客の良さを少しでも学んでほしくて、お邪魔します。52階のエレベーターを降りたところで迎えてくれるスタッフ、そこからテーブルに案内するホールスタッフ、食事の最中にテーブルを担当するスタッフ……。その連携と気配りが全てすばらしいのです」

 日本語で言うと、つかず離れずの接客、ということになるのだろう。客に近づき過ぎず、かといって一人にさせず。ほどよい距離感を表す言葉だが、イマイチ伝わりにくい。

幹部スタッフに学んでほしい「おもてなし」の意味

 記者がランチに訪ねてみると、一声かけてもらうタイミングのよさが際立っていることがわかった。ランチはアミューズのトマトスープを食べ終えると、前菜は20種類ほどのビュッフェから選ぶ。

 コロナ禍の今、訪れた客が思い思いにビュッフェに流れるのはマズい。トマトスープを食べ終えるタイミング、ビールを飲み進むペースなどを担当のスタッフが目で確認しながら、ビュッフェへ促す声掛けが絶妙だった。前菜が残り2品ほどになったところで、「お代わりされますか」とスタッフの女性。「結構です」と答えると、「前菜を食べ終えるタイミングでメインをお出ししてよろしいですか」との説明がいい。

 その言葉が厨房に伝えられると、見事に前菜を終えてまもなく、メインにチョイスしておいたUS牛プライムサーロインが登場した。なるほど、素晴らしいタイミングである。

「つかず離れずって、日本語で言うと簡単ですよね。でも、それをホールスタッフや厨房スタッフと連携しながら、接客で実行するのはとても難しい。それを確実に実行してくれるから気持ちがいいのです。このクラスのホテルなら当然、常連客の好みも一つ一つ正確に把握しています。僕がお邪魔すると、たとえばワインリストは好みの品種のページを開いて出してくれますからね。幹部スタッフには、そんなおもてなしの意味を学んでほしいんですよ」

 サーロインステーキはシェフのおすすめに従って「ミディアムレア」で。赤身肉の歯ごたえのよさを生かしつつ、香ばしさをプラス。肉の香りがウマ味と折り重なって胃に落ちていく。

「火力が違うんです。素晴らしいグリルは、強い火力で一気にウマ味を閉じ込めていきます。同時に焼き目をつけて、香ばしく仕上げる。中心部は余熱で仕上げるイメージだから、赤身のおいしさを損なうことがありません」

ランチ接待に最適

 気の置けない仲間や家族のお祝いにもうってつけだという。

「お酒が提供されるようになったとはいえ、条件つきです。そんな状況ですから、ビールやワインを少し飲みながらのランチ接待、ランチでのおもてなしに、こちらは最適ですよ」

 平日のランチコースは7150円。ビールやワインを2、3杯飲んで、サービス料15%込みで1万3000円ほど。ランチ料金としては高いかもしれないが、大切な人への最高のおもてなしと思えば、決して高くはないだろう。

(取材協力・キイストン)

■NEW YORK GRILL
東京都新宿区西新宿3―7―1―2
℡03・5323・3458

■ジャックポットプランニング オイスターバーやビストロ、ピッツェリアのほか和食店など23店舗を運営。酒や食料品の輸出入販売も。

▽中川洋(なかがわ・ひろし)1950年、静岡県沼津市生まれ。26歳で東京・下北沢に「ジャックポット」をオープン。88年11月、ジャックポットプランニングを設立。

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