一番多くもらえる年金の受け取り方は…75歳繰り下げ受給が断然お得 モデル世帯で年間487万円!

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 2022年4月から改正年金制度がスタートする。注目すべきは公的年金の「繰り下げ受給」が現行の70歳から75歳まで認められたこと。これにより60歳から75歳の間に自分で受給開始時期を選択することになるが、年金はいつから受け取った方が一番多くもらえるのか?

  ◇  ◇  ◇

 小難しくて「よく分からないよ~」という人が多くいて当然だが、新年金制度で押さえておくべきポイントは大きく2つだ。

 1つ目は、来年4月から公的年金の「繰り下げ」が75歳までに拡大すること。受給額は65歳を起点に1カ月受給を遅らせるごとに、“ご褒美”として0.7%ずつ増えるので、70歳まで5年間の繰り下げなら42%増、75歳まで10年なら84%増になる。また、繰り上げ受給した場合は1カ月ごとに0.5%ずつ減額されてきたが、来年4月からは0.4%に縮小される。

 2つ目は、来年5月から企業型と個人型の確定拠出年金の加入上限がそれぞれ5歳引き上げられること。企業型DCと個人型iDeCoは積立金の全額が所得控除され、さらに運用益も非課税になるので、ちょっぴりお得になる。ただ、運用損は自己責任なのでご注意を。まあ、国の思惑としては、人口が急減しているので「ぎりぎりまで働いてね」というものだ。

 中でも多くの人の関心は「では、いつから年金をもらったらいいの?」という疑問に尽きるだろう。

 まず、計算のもととなるモデル世帯(夫婦)の受給額は、通常の65歳開始で「月額22万724円」(年額約264万円)。これを70歳までガマンすると、42%アップの「月額31万3428円」(年額約376万円)になる。さらに75歳までシンボーすれば、84%アップの「月額40万6132円」(年額約487万円)だ。なるほど、長生きすればするほど、繰り下げのメリットは大きくなるわけだ。

 もっとも、人の寿命は誰にも分からない。75歳からもらうと決めて「年間で487万円だ~」と喜んでいたのに、76歳でおっちんでしまう人だっているだろう。日本人の平均寿命は2019年で「男性81.41歳」「女性87.45歳」。これは0歳児の寿命のことで、事故や病気で若くして亡くなる人も加味された数字。実際は、75歳の人の平均余命は男性で12.41年、女性で15.97年ある。つまり、75歳まで“生き抜いた人”なら、男は87歳、女は91歳まで生きるということになるわけだ。

損益分岐点は87歳と92歳

 では、肝心の損益分岐点は何歳になるのかを考えてみよう。

 答えは、「87歳」まで生きられれば、75歳受給開始の人の受給額は65歳受給開始の人よりトータルで上回ることになる。具体的には、75歳開始が5848万円、65歳開始が5827万円だ。

 同じように「92歳」まで生きられれば、75歳開始の人は70歳開始の人も上回る。75歳開始が8285万円、70歳開始は8274万円なのだ。

 国民年金の人も考え方は同じ。92歳でのトータル金額は65歳開始が2108万円、70歳開始は2439万円、75歳開始は2442万円。75歳まで繰り下げて受け取った人の方が最も金額が多い。

 要するに、男も女も87歳以上は生きるので、少なくとも65歳受給開始は選択肢から完全に外していいだろう。

 特定社会保険労務士でファイナンシャルプランナーの稲毛由佳氏がこう解説する。

「元気に働けるのであれば、できるだけ繰り下げて受給するのがベストな選択です。夫婦そろって75歳の開始なら年間で487万円。これなら75歳までの資産形成をしてあれば十分でしょう。75歳で預貯金がゼロになっても暮らしていけます。一方で、お金に困っている人ほど『繰り上げ受給』する傾向がありますが、余裕資金が少ない分、ギリギリまで受給を遅らせ、受け取る月額を増やした方が得策です」

 もちろん、70歳や71歳で病気の告知を受けた場合なら、すぐにも受給申請をした方がいい。年金事務所または街角の年金相談センターで受け付けており、翌月分から年金が受け取れる。

「年金の繰り下げは月単位で行うことができますし、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(報酬比例)を別々に繰り下げたり、繰り上げたりすることもできます。さらに夫婦を分けて、夫は70歳から、妻は75歳からといった選択方法もあります」(前出の稲毛氏)

ただし“現役並み”収入で医療費は2割負担

 ただし、お国だってバカではない。ここでひとつ、トラップを仕掛けてきている。先の国会でひっそりと75歳以上の医療費2割負担の医療制度改革関連法を成立させたのだ。年金世帯も含め単身で年収200万円以上、複数世帯(2人以上)は320万円以上の収入があると“現役並み”とされ、早ければ2022年10月から病院窓口の2割負担になる。

 つまり、年金受給が65歳開始のモデル世帯は1割負担のままなのに、計算上は68歳を超えて繰り下げ受給すると医療費に関しては2割負担となる。さらに特別養護老人ホームの使用料も年収に応じて金額が高くなる仕組みだし、東京都シルバーパスの費用も1000円だったものが2万510円になってしまう。そうそう、年金からも税金は徴収されることも忘れてはならない。

 いずれにせよ、作家の宇野千代先生(享年98)のように「私何だか死なないような気がするんですよ」といった人なら別。少々税金が高くなろうが、75歳の繰り下げ受給が断然お得なのだ。

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