人口当たりの死者数を見れば五輪開催は不可能ではないか
菅義偉首相が5月7日の会見で、東京・大阪などの緊急事態宣言の成果を問われて「人流の減少という所期の目的は達成できたと考えます」と答えたのには仰天した。緊急事態宣言の目的は感染者数・死者数を抑え込むことであって、人流を減少させることはそのための数ある手段のひとつでしかない。肝心なことには触れずに、末節のことだけを取り上げて、それがあたかも「所期の目的」であったかのように言いくるめようとする、あまりにも見えすいた幼稚な詭弁術である。
これは早速、野党からも突かれて当然で、10日の衆院予算委員会で菅は、新型コロナウイルスによる国内の死者が1万人を超えたことについて「大変申し訳なく、心からお見舞いを申し上げる」と陳謝しなければならなかった。この時に立憲民主党の枝野幸男代表は「アジア太平洋地域の感染状況」と題した、日本と域内5カ国の死者数と感染者数を比べたパネルを掲げて、「もはや五輪開催は不可能ではないか」と迫った。