急増「ワクチン詐欺」に要注意…“お得感”を演出する手口も

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 特殊詐欺グループが手ぐすね引いて高齢者を狙っている。新型コロナウイルスのワクチン接種が始まったが、その途端、保健所や自治体職員を名乗り、「事前に料金を口座振り込みして」といった不審電話が相次いでいる。河野太郎ワクチン担当相も「ワクチン接種に金銭や個人情報を電話で求めることはない」と注意を呼びかけている。

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■詐欺師が早く打ちたい心理に付け込む

「5000円を入金すればワクチンを優先的に接種できます」――。

 福岡県の50代男性宅にかかってきた一本の電話。男性は被害こそ免れたが、詐欺師たちは国民の新型コロナに対する不安にまで付け込む。

「優先的に接種するには予約金が必要。10万円を振り込んでください」(川崎市)

「ワクチン接種には予約金が必要です。書類を送るので家族構成を教えてください」(石川県)

 全国の自治体にはこんな不審電話の報告が相次いでいる。要求してくる金額については地域によって差があるようで、大阪府内では「4000円のコロナワクチンが400円で打てます」といった具合に、お得感を演出している。

 いずれにせよ、コロナに怯える人々の心理に付け込む卑劣な犯行。言葉巧みにクレジットカード番号などを聞き出す。

 今後、ワクチン接種が本格化し、メディアで頻繁に取り上げられれば、詐欺も本格化する。警察庁や国民生活センターが訴えるワクチン接種の大原則は――。

●ワクチン接種は無料
●自治体が電話で個人情報を求めることはない


 少しでも不審に思ったら、「新型コロナワクチン詐欺 消費者ホットライン」(℡0120・797・188)に相談したい。

 だが、専門家は自治体によって接種の方法が異なることが詐欺を広げてしまう要因だと話す。

「高齢者に対する接種が4月12日から一部自治体で始まりましたが、八王子市や和光市のような『先着順』、花巻市や大津市の『年齢順』、春日井市などの『抽選』と自治体によって順番の決め方が違います。混乱した高齢者が自治体の相談窓口に電話しても、『ただいま、電話が混み合って……』と話し中がほとんど。そこへ自治体職員をかたる詐欺グループから『接種前に副作用の検査が必要』『事前に料金を振り込んでください(後日、返却する)』などといった電話が来れば、気付かぬうちに振り込め詐欺に遭ってしまうことがあります」(詐欺・悪徳商法ジャーナリスト・多田文明氏)

 アベノマスクの布製マスク配布の際も、やはり便乗した「送り付け商法」が流行したものだ。

 東京都江東区の場合、高齢者に対する集団接種の開始はGW明け後の5月16日。ただでさえ遅れている上、65歳以上の区民11.3万人がすべて打ち終わるのは2カ月以上もかかる。

 自分の順番はまだかとヤキモキする人は多いはずだ。

接種の遅れによる国の責任も

 もっとも、多田氏はワクチン接種が本格化すれば、不審な電話・メールはもっと増えると断言する。

「2回目接種の前は『副作用はないですか?』といった内容で連絡が来て個人情報を盗まれるかもしれない。3度目の緊急事態宣言でステイホームが増えており、特に高齢者の在宅率は高い。警視庁によると、新型コロナの給付金を巡る還付金詐欺も急増しています」(多田氏)

 ワクチン詐欺が増える背景には、他にも接種の遅れがある。接種対象者でもあるタレントのモト冬樹(69)は「河野太郎行政改革相が9月末までに全対象者へ供給が可能になったことを発表した。あれ? 9月ってオリンピックが終わってるね?」とブログでツッコミを入れていたが、これも楽観的な見込み。政府としては、10月21日に任期満了となる衆議院選挙までに間に合えばいいということかもしれない。

 実際、医療従事者の接種対象370万人のうち、これまで1回でもワクチンを打った人の数は136万1693人(4月20日時点)。2月17日の接種開始から2カ月が経過してようやく36.8%という接種率だ。必要とされる2回の接種を完了した人は80万500人(同21.6%)しかいない。高齢者接種にいたっては2万8220人(同20日時点)だ。

 厚労省が公表していた今年初めの想定スケジュールでは、3月下旬に「高齢者への接種」が始まり、4月からは「基礎疾患のある人」「高齢者施設の職員」「60~64歳」「それ以外」の人へと順次、接種が拡大していく予定だった。その準備として、4月中には「(高齢者以外の)65歳未満の住人へ接種券を郵送する」手はずになっていた。

江東区民が接種を終えるのは12月

 実際の接種スケジュールはどうなっているのか? 世田谷区は今月23日からようやく75歳以上の区民へ接種券を郵送し、65~74歳への郵送は5月以降とする。接種は28日受け付けの先着順で決まり、5月3日から集団接種がスタート。それ以外の区民は接種券の郵送すら未定となっている。一方、横浜市は5月3日に予約を開始し、集団接種のスタートは少し遅く5月17日を予定している。

 では、いつまでに終わるのか? 先の江東区は、区内6カ所のスポーツ施設(有明スポーツセンターなど)での集団接種と、区内180の医療機関の個別接種で、「最大週3万回接種」の態勢をつくるとしている。接種対象から外れる中学生以下を除く区民39万人に2回の接種を終えるのは、このペースでいくと予定では26週かかることになる。つまり、順調にいっても12月までかかってしまうのだ。とはいえ、海外からのワクチン供給が遅れれば、予定そのものが未定になる。

 絶対に老人を餌食にする特殊詐欺グループと同じにしてはいけないが、国も似たようなものに思えてしまう。ワクチンへの飢餓感からワクチン詐欺が増えるのであれば、少しは責任を感じてもらいたい。 

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