ワクチン会場クラスターの恐怖…接種時リスクに医師会悲鳴

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 コロナ禍克服の切り札として期待されるワクチン。その接種会場でクラスターが起きる恐れが出てきた。最優先のはずだった医療従事者への先行接種が遅々として進んでいないのに、今週から3600万人の高齢者接種をスタートさせたからだ。接種時の感染リスクについては、早くも各地の医師会から悲鳴が上がっている。

  ◇  ◇  ◇

 医療従事者への先行接種は2月17日から始まったが、進捗状況は散々だ。12日時点で約169万回の接種が行われ、うち2回接種したのは56万人にとどまる。接種を希望する医療従事者480万人のわずか11%だ。

 このため、ワクチン未接種の医療従事者が高齢者にワクチンを打つ場面が出てくる。

 八王子市医師会の石塚太一会長は「私自身も、まだ接種を受けていない。私自身が感染する可能性と、もし(自分が)感染している場合、接種を受けに来た方に広げてしまう。『(医療従事者に)接種をしてから』が本来の筋だ」と心配している。

 堺市医師会の西川正治会長も「ワクチンの接種が終わっていないと、接種をする人間が感染源になる可能性がある。症状が出る前の日で、たまたま高齢者と接するのが一番怖い」とコメントしている。

 異口同音に接種時の感染リスクに警戒を示しているのだ。

未接種の医療従事者と高齢者のうつし合い

 堺市の西川会長が言及している「症状が出る前の日」は、感染者が大量のウイルスを排出する時期だ。実際、発症前、感染に気づかず、高齢者にワクチンを打ち続けるケースが出てきてもおかしくない。また、一切症状が出ない陽性の医師や看護師が接種を担当するケースもあるだろう。

 接種会場でうつし、うつされ、クラスターが発生――そんな事態が現実味を帯びる。西武学園医学技術専門学校東京校校長の中原英臣氏(感染症学)が言う。

「ワクチンを打っても効果が出るには時間がかかる。接種時に感染した高齢者が発症し、重症化することも十分あるでしょう。また、各自治体は接種にあたる医療従事者の確保に苦労していますが、接種する医療従事者が感染し、現場を離脱することは大きな痛手になります」

 厚労省のワクチン接種の特設会場を設ける1391自治体へのアンケートでは、3月25日時点で約2割が「看護師不足」と回答している。

「医療従事者への先行接種を後回しにしてまで、4月中に高齢者接種スタートという既成事実をつくろうとするのはどうかしています。大メディアが厳しく追及しないのも問題です」(中原英臣氏)

 接種会場でウイルスを持ち帰るのは最悪だ。菅首相は当初の予定通り、医療従事者の先行接種を完了させるべきだ。 

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