「内部留保」43社リスト 大企業はこんなに貯め込んでいる

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 2021年春闘――。大手企業は先週そろって回答した。コロナ禍にあって各社とも低調で、力強さを欠いた。電機大手(パナソニックや東芝など)のベースアップは要求額の2000円に対し、1000円の回答にとどまっている。

「新型コロナの感染拡大で企業業績は悪化。サラリーマンの給与があまり増えないのは仕方ないのかもしれません。でも、大企業は巨額な内部留保を抱えています。給与減で生活に苦労している社員はたくさんいます。内部留保を取り崩してもいいのではないか」(大手電機メーカー関係者)

 厚労省の毎月勤労統計調査によると、サラリーマン給与(実質賃金)は今年1月まで11カ月連続で減少している。国税庁の直近統計(2019年)では、年間の平均給与が436万4000円と7年ぶりに前年を下回った。

 一方、企業の内部留保は8年連続で上昇を続ける。財務省の法人企業統計(19年度=年間ベースの直近公表)によると、内部留保(利益剰余金)は前の年より2・6%増加して475兆161億円だった(金融業・保険業除く)。

「08年のリーマン・ショックを経験した企業は内部留保を厚くしています。イザというときに国は助けてくれない。危機が再来したとき、自分たちでしのぐ必要があると分かっているから、蓄えを取り崩すのは難しいでしょう。さらに、給与は固定費です。一度上げたらそう簡単に下げられません。とはいえ、内部留保の8年連続上昇は貯め込み過ぎという批判を受けても仕方ないでしょう」(株式評論家の倉多慎之助氏)

 大手企業の内部留保を調べると、20年3月期など19年度ベースでトヨタ自動車がダントツで23兆円超え。以下、ホンダ8兆1429億円、NTT6兆4999億円、三菱商事4兆6742億円、NTTドコモ4兆4410億円、KDDI4兆1382億円、日産自動車4兆1250億円となっている(別表①参照)。

 3兆円を超えているのはソフトバンクグループやJR東海、キヤノン、三井物産。2兆円超えは、JR東日本、ソニー、デンソー、JT、富士フイルムHD、ブリヂストン、日立製作所、セブン&アイHD、住友商事、三菱電機だ。

「一言でいえば内部留保は企業が貯め込んでいる利益です。ただし工場などの投資に回すこともあるので、現金として持っているとは限りません。単純に現金の合計額ではないので分かりにくいといえます」(市場関係者)

 トヨタ自動車の場合、内部留保は23兆4276億円あるが、有利子負債(借金)も20兆5529億円抱える。現金同等物(現金や預金など)は4兆4121億円だ。

「実はコロナ禍で内部留保を減らしている業種が多いのです。ホテルや飲食は激減しています」(前出の市場関係者)

 最新の法人企業統計(20年10~12月期)で内部留保が確認できる。全産業ベースの前年同期比はマイナス3・4%だった。ただし、資本金1000万~1億円未満の中小に限ると減少幅はもっと広がりマイナス8・2%。大手より中小企業の経営悪化が深刻で、内部留保をいっそう取り崩している状態だ。

宿泊や飲食サービスは1年前に比べ激減

 なかでもコロナの直撃を受けた業界は落ち込みが顕著だ。宿泊業はマイナス66・8%、飲食サービス業はマイナス51・9%、娯楽業(映画館、遊園地、スポーツ施設など)はマイナス38・0%となった。航空運輸や倉庫を含むその他の運輸業もマイナス23・1%、不動産業はマイナス14・1%(別表②参照)。

 飲食サービス業や娯楽業、製造業などは1億円未満の企業のほうがより減少しているのが分かる。

 ただし、コロナ禍でも踏ん張っている業界は内部留保を増やした。巣ごもり消費で売れ行きを伸ばす食品スーパーや自転車、家具などの小売業、いったんは売れ行きが低迷したものの回復基調にある自動車業界などだ。

「内部留保は業種による格差が鮮明です。この先、格差はもっと広がるかもしれませんが、内部留保を取り崩してでも社員待遇を改善させる企業努力は大切です。そういう会社に優秀な人材が集まります」(倉多慎之助氏)

 春闘はこれからが本番。内部留保を積み上げるのではなく、賃上げに回して欲しいと願うサラリーマンは大勢いる。

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