「サカナバル」も展開 「アイロム」社長・森山佳和さんの巻<1>

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jiubar(東京・神楽坂)

 飯田橋駅から神楽坂通りを善國寺方面に上がって2分ほど。右手のビルの3階にあるのが、こちらです。看板は一切なく、ビルの入り口のフロア表示に店名が書かれているだけで、目印がなく、いつも「どこだっけ?」と迷ってしまいます。そのひっそり感がいいんですよ。

 エレベーターもなく、階段で3階へ。重い扉を開けて中に入ると、目に飛び込んでくるのは、カウンター越しのボトルの数々。中華料理店には珍しいウイスキーやハードリカーなどのボトルが並んでいます。バックバーの充実ぶりは、まるでバーのようで、一瞬、中華料理店であることを忘れますよ。

 カウンター中心の19席は、店内の雰囲気もバーのようですから、ワイワイガヤガヤの大皿中華ではありません。2人でシェアしてちょうどいい、小皿中華です。今でこそ定番となりつつある小皿の傾向は、ここが先駆けといっていい。

 だれもが頼む肉団子(680円)は一皿4つ。外側はカリッと、中心は肉感たっぷり。その一つ一つを包むソースは甘いようで辛く、酸味もあります。中国・四川の魚香という調味料に青山椒のマッチングです。

オリジナリティー溢れる料理は一皿1000円前後

 ベーコンと香味野菜のサラダ(980円)は、刻んだパクチーなどがたっぷりでベーコンが見えません。見せ方にも楽しさがあって、初めて訪れた人はメニュー名とは一線を画す盛り付けと味に驚くこと間違いありません。

 春巻き(880円)の餡としてアスパラガスはあるかもしれませんが、ゴルゴンゾーラチーズを合わせる店はここくらいでしょう。シチューのように軟らかく仕上げたタン(1080円)を囲むのは、何と紫キャベツとトマト山椒でした。フレンチのような盛り付けが目に美しい。

 どの皿をとっても、ほかの店と同じような内容のものはひとつもありません。このオリジナリティーが面白いのです。それが一皿1000円前後。コスパも抜群です。

 で、肉団子と並んで皆さん召し上がるのが、酢豚(1280円)です。最近は黒酢の酢豚が流行でしょう。そのイメージでいうと、肉団子の方が見た目はその仕上がりに近いかもしれません。酢豚は、何とソースが透き通っているのです。

 サツマイモがほどよい甘味を加え、上品なコクのある餡がカリッとした豚を包んでいます。喉をスッと抜ける爽やかさ。この喉越しのよさが、後をひくのです。

料理もお酒もとにかく発想が自由

 モヒートは一般にラムで仕上げます。こちらのパクチーモヒート(780円)は、白ワインがベース。ジャスミン茶ワー(680円)は、ウオッカをジャスミン茶で割っています。肉団子の味のアクセントになる青山椒はジンにまぶしてジンソーダ(730円)に。

 ドリンクも一つ一つがしっかりとまとまっていて、決してにぎやかしの変化球ではありません。どれもまっとうな一杯になっています。

 料理もお酒も、とにかく発想が自由。お酒についてはバーとしての実力が感じられます。

 一部のメニューは、テークアウトも可能ですから、覚えておいて損はありません。

(取材協力・キイストン)

■jiubar
東京都新宿区神楽坂2―12 神楽坂ビル3階
℡03・6265・0846

■アイロム
恵比寿、六本木、川崎で地元に親しまれる「サカナバル」を営業するほか、渋谷にダイニングバー「BEE8」も展開。コロナ対策で缶詰事業にも着手している。

▽森山佳和(もりやま・よしかず)1977年6月24日、横浜市生まれ。デザイン専門学校を卒業後、転職を経て飲食業界へ。エリアマネジャーとして経営ノウハウを蓄積して独立。魚に特化した洋食業態を開発し、店名でもある「サカナバル」は商標を取得している。

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