伝説の店「furutoshi」も運営 「SEED TANK」社長・古里太志さんの巻<4>
太古城(神奈川・葉山)
香港北東部の町の名前を取った店名は「たいくうしん」と読みます。かつては東京・渋谷の東にあったころから大好きでよく利用しています。葉山に移転してからも、地元の方に人気です。
■無化調ヘルシー中華
何がいいって、化学調味料を使わず、体にやさしい。どの料理もとてもヘルシーで、安心できるというか、ホッとするのです。
しかも安い。たとえば砂肝の醤油煮は小皿にたっぷりと盛られて380円。醤油のあんばいがちょうどよく、先付けがわりにピッタリ。食感を残して歯触りよく、ビールのアテに最高です。ハートランドの生ビールは、パイントになみなみと注がれて500円。
豚耳のキュウリ和えやスペアリブの甘露煮も380円で、大根の醤油煮は250円。豆腐をきしめんのように広く薄く延ばして乾燥させた干し豆腐(750円)も前菜に最適です。常連の女性は「これおいしい。ウチでも作りたいな」とゾッコンの様子でした。ディナーなら、この辺りからスタートして、好きなメニューを選ぶのがおすすめです。
人気の餃子は6個800円。出されると、「熱いから注意してね」と女将さん。口に運んで納得します。厚めの皮をがぶりとやると、豚肉たっぷりの餡からスープがジュワーッ。まるで小籠包のように。
ご主人は遊び心もあって、ロシアン餃子には1つが激辛に。激辛の正体は食べてからのお楽しみですが、まあ、食べられないほどではなく、もちろんおいしくいただけます。6分の1の確率で辛いから、ロシアン餃子というわけです。それが嫌ならロシアンではない、フツーの餃子にすれば問題ありません。
シメは麺か米か 両方頼むのが正解
雲白肉は、蒸した豚バラ肉に唐辛子とニンニクの辛味ソースを添えた一品で、スライスしたキュウリと一緒に口に運ぶとこれもいい味わいです。ほどよい辛さが豚の甘味とウマ味を引き立て、キュウリのシャキシャキ感が小気味いい。調理過程は家庭でできるレベルも、ソースがプロの技。650円の安心価格なのもうれしい。
麻婆豆腐(880円)は、豚肉を包丁で叩いているのでしょう。ざっくりとしたひき肉が食べ応え十分で、ウマ味をたたえたスープ、豆腐の三位一体で、花椒の香りがピリッといい働きをしています。
麺でしめるか、ご飯にするか。どちらも正解でしょう。「中華は、大勢でたくさん頼んでシェアしながら食べるのがいいよね」とワイワイしていたグループの方が話していた通りでしょう。
料理も紹興酒もテークアウト可
ちなみに店おすすめの土鍋チャーハン(1500円)は、卵チャーハンに、刻んだ豚の角煮やホタテなどの餡をかけた豪華版。これがウマ味たっぷりですばらしい。
どのメニューもテークアウトできます。料理に加え、甕出し紹興酒を持ち帰る方もいます。1合1100円、600ミリリットルなら3300円とオトクです。
場所はJR、京急の逗子駅からバスで10分ほど。一色小学校のバス停からすぐです。
(取材協力・キイストン)
■太古城
神奈川県三浦郡葉山町一色1052 B1
℡046・884・9442
■SEED―TANK
三井ガーデンホテル銀座プレミア16階のメインダイニング「sky」ほか、銀座と札幌で3店舗を運営。接客、サービスのプロとしてコンサルタント事業も手掛ける。
▽ふるさと・ふとし 1971年、神奈川県茅ケ崎市生まれ。グローバルダイニングから28歳で独立。西麻布のダイニング「Furutoshi」は著名人もひきつけた伝説の店で、2011年に銀座に移転。札幌「Agora」も経営。