都内30店舗「ティーケーエス」社長・斎藤浩司さんの巻<3>
宝華らぁめん 国分寺店(東京・国分寺市)
東小金井に本店を構える油そば屋さんの支店です。油そばというと、今やラーメンのひとつのジャンルとして確立されています。それを今から30年以上前、1980年代に宝そばとして売り出したのが、こちらです。油そばの“元祖”といってもいいかもしれません。
本店はその宝そばを中心に各種ラーメン、チャーハン、麻婆豆腐やレバニラ炒めなど一品料理もそろえた町中華風のメニュー構成なのに対し、支店のこちらは宝そばやラーメンのほか、ツマミが少々あるのみのラーメン店です。
当然、「宝そばを」と言いたいところですが、少数精鋭のツマミがすばらしい。本店ではなく、あえて支店を取り上げるのはそのためです。
いつも注文するのが、つまみワンタン(300円)。通常、ワンタンはスープと一緒にいただく点心です。ツマミですからスープには、浮いていません。茹で上がると、皿にのって登場します。
サイズは小ぶりながら肉の味がしっかりと感じられる餡がいい。かかっているタレも、ちょうどいいあんばいで。店の方にうかがったわけではありませんが、ラーメンスープの返しを応用しているのだと思います。それがホント優しい味わいなのです。これをツマミに瓶ビール(610円)を飲むのがいつものパターン。
ネギチャーシュー(450円)も、外せないでしょう。チャーシューは、豚肉に醤油をしっかりつけるタイプと醤油はほどほどに肉のウマ味を生かすタイプがあります。こちらは中間型。豚の肩ロースは醤油をまとってちょうどよく、ネギの辛味にマッチするのです。
そして何といっても、真打ちは餃子。このシリーズの初回に取り上げた三幸園が東京餃子番付で東の横綱なら、ここは西の横綱です。もちろん、私的に。
肉よりキャベツの甘味やニラの香りを生かした野菜中心の餡は、ふっくらとしていて、けっこう大ぶりです。それが6個400円は安い。
がぶっとくらいつくと、ほどよい肉のウマ味がふわっとした野菜の甘味の中に感じられます。野菜中心でもパンチがあるのは、ニンニクを強めに利かせているためです。それでいてニンニクの香りが口に残らないのがいい。ランチで食べてから仕事に戻っても大丈夫です。
シメは、醤油らぁめん(730円)。昆布と鶏ガラのあっさりスープは昔ながらの昭和風で、飽きません。ネギとノリがのったシンプルな一杯は脂が張ってあって、最後まで熱々のままいただけるのです。その脂もラードではないので、胃もたれせずスッキリしていい。お近くの方はぜひ!
(取材協力・キイストン)
■宝華らぁめん国分寺店
東京都国分寺市本町2―11―5 ℡042・324・6363
▽ティーケーエス 沖縄料理屋「なんくるないさ」や寿司屋「まぐろ人」、大衆居酒屋「なんで、や」など都内を中心に約30店舗を運営。来年、創業30周年。
▽さいとう・こうじ ティーケーエス社長。「街に人に愛される」をモットーに、常に店舗を回りながら現場に立つ。