主人はミシュラン一つ星「神楽坂くろす」 女将黒須ゆきこさんの巻<4>
麻布永坂 更科本店(東京・麻布十番)
新型コロナウイルス対策で飲食店は、どこのお店も席と席との間隔を広めにとったりしています。こちらのお店は、コロナの前から広いテーブルでゆったりと食事ができるので、重宝していました。
両親と食事したり、娘とブランチしたり。価格は高くもなく、安くもなくて、使い勝手がいい。ランチからディナーまで通し営業なので、ウチのランチ営業を終えてからお邪魔できるのもいい。もちろん、おそばやお料理のよさがあればこそですよ。
今は、ちょうど新そばの時季。のど越しよく、風味豊かなおそばをほどよいダシでいただくと、秋の訪れを感じます。肉やイタリアンが好きな私も、食材で四季を感じられるのは和食のよさ。ニシンそばや牡蠣そばなど、季節のおそばも名物で、好みの一杯に出合えるお店です。
私の好物はというと、天ざる(2460円)。大きな車エビはサクッと歯ざわりがよく、プリッとしていて、素材のウマ味が凝縮しています。おそば屋さんの天ぷらには、目がありません。それが2匹。食べごたえがあるので、ついいつも頼んでしまいます。
ざると盛りはノリがあるかないかの違いでも、やっぱりノリがあると香ばしいですよね。ほどよい辛さのダシにも合いますし。私は、ノリがあるざる、特にこちらの天ざるが好きです。
一品メニューも充実
王道の灰色のおそばのほか、純白の御膳そば、卵の黄身や抹茶を打ち込んだものなど、おそばそのものもいろいろ楽しめます。ですから、家族や気の置けない友人との会食に最適です。
サケのオイル蒸し(1200円)や牡蠣グラタン(850円)、つくね(630円)、合鴨の煮おろし(850円)、各種天ぷらなど一品メニューも充実しています。お酒を飲まれる方なら、思い思いのそば前を楽しんでから、シメにおそばを召し上がるのもいいでしょう。そんな方向けに、ボリュームを抑えた「〆そば」も用意されています。
会席もいいですし、お造り(880円~)もおいしい。シマアジやマグロ、タイ、シメサバ、イカ、タコ、トリ貝、赤貝などのラインアップ。私は貝が好きで、貝を入れて盛り合わせをいただいたりします。
盛りつけも鮮やかで、見て楽しく、食べておいしい。麻布界隈を散歩されるときは、知っておくと重宝します。CPもよく、普段使いできるおそばの老舗です。
(取材協力・キイストン)
■麻布永坂 更科本店
東京都港区麻布十番1―2―7
℡03・3584・9410
▽神楽坂くろす 日本料理の伝統をしっかりと踏まえつつ、ときに自由に。主人の黒須浩之氏は、現ハイアットリージェンシーやザ・リッツ・カールトン東京などで腕を磨く。リッツの日本料理店「ひのきざか」は2008年から3年連続で「ミシュランガイド東京」1つ星を獲得。12年1月に開店。
▽くろす・ゆきこ 神楽坂くろすの女将。女将になる前は銀行で働く。好きな食べ物はイタリアンや肉料理。