最期まで頭脳明晰「野村流ボヤキ」の健康効果を医師が解説
11日に虚血性心不全で亡くなった野球評論家の野村克也氏(享年84)の代名詞といえば、ボヤキだろう。自らを「口ベタ」と称しつつも、最期まで野球解説の切れ味は鋭かった。亡くなるまで頭脳明晰で、社会問題となっている認知症とは無縁だ。脳を元気に保つ秘訣のひとつがボヤキだとすると、ほかには何があるのか――。
◇ ◇ ◇
野村氏は理想家で、常に完全試合を狙ってマスクをかぶっていたが、一試合も達成できなかった。完全試合どころか、投手がサインを間違える配球ミスは毎試合のようにあっただろう。そんな理想と現実のギャップを埋めたのがボヤキだ。野村氏にとってボヤキは、「理想と現実の差を表現するもの。高いところ(理想)に上ろうとする意欲の変形」と考えていた。
時には、ヤクルト時代の愛弟子・古田敦也を“口撃”。試合に負けると「あいつのせいで負けた」、リリーフが打たれると「古田が『代えろ』と言ったから」と責任転嫁のような一方的な非難も聞こえたが、「脳の健康維持にはよかった」というのは「脳が若返る30の方法」などの著書がある医学博士・米山公啓氏だ。