著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

三井住友FG太田社長は決算発表欠席から11日後にがんで“ピンピンコロリ”

公開日: 更新日:

 仕事をやり尽くしての最期だったのでしょう。先月25日にすい臓がんで亡くなった三井住友フィナンシャルグループの太田純社長(享年65)。その後の報道によると、かねて治療を続けていたものの、予定されていた14日の中間決算会見を急きょ欠席し、病状が悪化。体調不良が公になってからわずか11日で帰らぬ人になりました。

 事情を知らない人からすれば、突然の訃報かもしれませんが、本人にとっては治療と仕事を冷静にバランスを取って、家族や役員などとは周到に準備しながら迎えたであろう最期だと思うのです。中間決算会見の直前まで現場にこだわったことが見て取れることからも、恐らくそうでしょう。

 「ピンピンコロリ」という言葉があります。元気に暮らしている人が、ある日突然亡くなることで、心筋梗塞脳卒中がその引き金になる病気と思っている人が少なくありません。

 突然、命を落とすという意味ではそうですが、これらの循環器系の病気だと、あまりに突然過ぎて、家族や仕事の仲間との最後のやりとりや引き継ぎがまったくできません。残された人は、大変です。その点、がんは治療の選択をうまくすれば、本人は仕事や生活を楽しみながら、周りとのやりとりも十分に行って、最期を迎えることができますから、残された人の仕事や生活へのトラブルを最小限に抑えることができます。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  4. 4

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  5. 5

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  1. 6

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    矢地祐介との破局報道から1年超…川口春奈「お誘いもない」プライベートに「庶民と変わらない」と共感殺到

  4. 9

    渡邊渚“逆ギレ”から見え隠れするフジ退社1年後の正念場…現状では「一発屋」と同じ末路も

  5. 10

    巨人FA捕手・甲斐拓也の“存在価値”はますます減少…同僚岸田が侍J選出でジリ貧状態