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天野篤順天堂大学医学部心臓血管外科教授

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

心筋梗塞の発症後に「痛み」があると死亡リスク増…海外調査を考える

公開日: 更新日:

 心筋梗塞を発症してから1年後、胸痛を含む「痛み」がある人は死亡リスクが上昇する──。今年8月、米国心臓協会雑誌でこんな研究結果が報告されました。

 スウェーデンの心疾患データベースで、2004年から13年の間に心筋梗塞を起こした75歳未満の患者1万8376人のデータを分析したところ、患者の40%以上が退院から12カ月後の追跡調査時に「中等度の痛み」または「非常に強い痛み」があると回答。中等度の痛みがあった患者は、痛みのない患者と比較して、その後、最長8.5年間の全死亡リスクが35%高いことが分かりました。さらに、非常に強い痛みのある患者では、同じく死亡リスクが2倍以上だったそうです。

 研究者は「心筋梗塞後は、将来の死亡の重要なリスク因子として痛みの有無を評価し、認識することが重要」と述べています。

 心筋梗塞を発症して入院した後、痛みがあれば長期的にも予後が悪いということですが、これは当たり前といえば当たり前の結果といえます。たとえば、心筋梗塞を起こした患者がカテーテルによるステント治療、もしくは冠動脈バイパス手術を受けたとします。いずれも血栓で詰まってしまった冠動脈の血行を再建させる治療で、血流が再開すれば病気が原因の胸痛などの痛みは改善していきます。つまり、痛みがあるということは、治療がうまくいかなかった証明でもあるのです。その場合、病気が再発したり、予後が悪くなるのは当然といえるでしょう。

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