認知症で一番身近な人間に被害妄想や攻撃性が表れるのはなぜか

公開日: 更新日:

 認知症の患者さんの特徴として、判断力や理解力が低下し、状況把握が難しくなります。そのため、周囲の話の流れを理解できずのけものにされているという被害妄想が表れてしまう。また、感情のブレーキが制御できないので暴力や暴言といった攻撃につながります。

 認知症の中でも、脳の前頭葉や側頭葉が萎縮する「前頭側頭型認知症」の患者さんは人が変わったように攻撃的になるケースがあります。とくに前頭葉は、思考や感情、判断をつかさどるため人格に影響を与えるのです。

 また、「レビー小体型認知症」は、幻覚などが見えるため不安を抱きやすい。恐怖から暴力性が出るケースがあります。

 そして、被害妄想や攻撃性が一番身近な人に向かうのは、「介護者として近くにいるので確率的に敵視されやすい」というのが、私の見解です。

 認知症の症状では、記憶をつかさどる脳の海馬の働きが縮小し、短期記憶障害が起こって数分、数時間前の記憶保持ができなくなります。そのため、たとえば直前に財布を置いた場所が分からなくなります。患者さん本人は「あったはずの物がない」と考えますが、状況把握力が衰えていますから、自分は何もしていない=盗(と)られたと捉えてしまう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  5. 5

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  1. 6

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  2. 7

    豊作だった秋ドラマ!「続編」を期待したい6作 「ザ・トラベルナース」はドクターXに続く看板になる

  3. 8

    巨人・岡本和真の意中は名門ヤンキース…来オフのメジャー挑戦へ「1年残留代」込みの年俸大幅増

  4. 9

    悠仁さまは東大農学部第1次選考合格者の中にいるのか? 筑波大を受験した様子は確認されず…

  5. 10

    中山美穂さんが「愛し愛された」理由…和田アキ子、田原俊彦、芸能リポーターら数々証言