著者のコラム一覧
石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

糖尿病の治療薬が呼吸器疾患に効く 一流医学誌に論文掲載

公開日: 更新日:

「COPD」というのは慢性閉塞性肺疾患という病気のことで、主にたばこを原因として、肺が破壊され、慢性の炎症を起こすなどして肺の機能が低下します。COPDで怖いのは、風邪などをきっかけとして急激に呼吸状態が悪化する「急性増悪」と呼ばれる状態です。急性増悪はそれ自体が命に関わることもありますし、改善しても呼吸機能の低下に結び付くことが多いのです。

 それでは、COPDの急性増悪を予防するには、どうすればいいのでしょうか? インフルエンザや新型コロナのワクチンを接種したり、基本的な感染対策を行って、風邪などの感染症を予防することが何より大切ですが、最近、糖尿病の治療薬が急性増悪の予防に有効なのでは、という考え方が注目されています。

 今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、イギリスでの研究結果が報告されています。最近使用されることの多いGLP-1アナログとSGLT2阻害剤という、2種類の糖尿病の治療薬を使用している、COPDのある糖尿病の患者さんは、他の薬を使用している場合と比較して、COPDの重症の急性増悪が、いずれも3割以上低下していたのです。

 こうした糖尿病の治療薬には、感染を抑え、気道を健康に保つような働きがあるという研究結果も報告されています。今後、こうした糖尿病の治療薬がCOPDの治療にも使用されるようになるかもしれません。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    冷静になれば危うさばかり…高市バブルの化けの皮がもう剥がれてきた

  2. 2

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 3

    大関取り安青錦の出世街道に立ちはだかる「体重のカベ」…幕内の平均体重より-10kg

  4. 4

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  5. 5

    維新・藤田共同代表に自民党から「辞任圧力」…還流疑惑対応に加え“名刺さらし”で複雑化

  1. 6

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 7

    小野田紀美経済安保相の地元を週刊新潮が嗅ぎ回ったのは至極当然のこと

  3. 8

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 9

    「しんぶん赤旗」と橋下徹氏がタッグを組んだ“維新叩き”に自民党が喜ぶ構図

  5. 10

    歪んだ「NHK愛」を育んだ生い立ち…天下のNHKに就職→自慢のキャリア強制終了で逆恨み