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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ノーベル賞で注目オプジーボ “ターゲット”は進行肺がんか

公開日: 更新日:

 がん治療をめぐって、明るいニュースが飛び込んできました。ノーベル医学生理学賞を受賞した京大の本庶佑特別教授(写真)の研究は、オプジーボなど新しいタイプのがん治療薬の開発につながったものです。オプジーボが登場した4年前、年間3500万円に上る高額な薬剤費が話題になり、名前を覚えている方は少なくないでしょう。

 本庶さんの研究のすごさは、免疫の仕組みを正常化させるところにあります。免疫細胞は、細菌やウイルスなどの侵入者のほか、体内で生まれたがん細胞も異物として排除しますが、その働きが強過ぎると、アレルギーやリウマチといった自己免疫疾患になりやすい。その欠点をカバーするのが、自ら免疫を抑制する仕組みで、「免疫チェックポイント機構」と呼ばれます。

 実は、がん細胞は、免疫チェックポイント機構に働きかけて、免疫細胞の攻撃にブレーキをかける仕組みがあるのです。そこで登場するオプジーボは、かけられたブレーキを解除。免疫細胞によるがん細胞への攻撃を再開するのです。その働きから、オプジーボに代表される薬は、免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれます。

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