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原田曜平マーケティングアナリスト・信州大学特任教授

1977年、東京都生まれ。マーケティングアナリスト。慶大商学部卒業後、博報堂入社。博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーなどを経て、独立。2003年度JAAA広告賞・新人部門賞受賞。「マイルドヤンキー」「さとり世代」「女子力男子」など若者消費を象徴するキーワードを広めた若者研究の第一人者。「若者わからん!」「Z世代」など著書多数。20年12月から信州大特任教授。

キム兄こと木村祐一さんと語り尽くす 昭和・平成・令和の「芸人世代論」

公開日: 更新日:

NSC生は1年に800人、見どころがあるのは20人(木村)

 今回のゲストはキム兄の愛称で親しまれるベテラン芸人の木村祐一さん(61)。NSCで講師も務める木村さんに昭和、平成、令和の芸人世代論を訊く!

原田曜平(以下=原田) 本日はキム兄こと木村祐一さんに芸人世代論について伺えればと思います。キム兄さんは芸歴も長く、吉本興業の養成所「NSC」の講師のお仕事もされています。最近の若手の印象はいかがですか?

木村祐一(以下=木村) コロナ禍中にリモート授業になったこともあって、全般的におとなしくなった印象はありますね。だいたい、M-1グランプリ2023、24王者の令和ロマン(2017年度NSC在学)が境目だと思います。彼らは虎視眈々と野望を抱いていて面白いなと思ったのですが、その後の芸人は少し控えめな子が多いかな。対面授業に戻ってから、また元気な芸人が出てきつつはあるんですけどね。

原田 どんな授業を担当されているんですか?

木村 毎週2コマほど担当しますが、まず前半は好きなことをしゃべらせます。オカン(母親)やツレ(友達)の話、道でこんなオッサン見たという話など、日常のエピソードトークです。「それはいい経験だからネタになるな」から「なんやそれ」というものまで好きにしゃべってもらって、僕がコメントをする。内容の具体性や話し方から、人に面白く伝えるにはどうしていけばいいのかということを教えています。後半は大喜利コーナー。お題を出して答えてもらいます。ちょっと発想が違う子がいると「おっ!」と思います。

原田 キム兄さんが一目置く生徒は何人くらいいるものですか?

木村 今、NSC生は1年に800人ほどいますが、見どころがありそうな子は東京・大阪合わせて20人もいないですね。芸人は大喜利がすべてではないのですが、実は漫才でもコントでも、ネタって大喜利の連続なんですよね。1つのテーマにボケを重ねていくのがネタですし、テーマに対しても、設定に対しても、大喜利力は大切になります。

原田 確かに芸人さんはバラエティーの現場で「今、自分が何を言うべきか」という時でも、大喜利力が問われますよね。

木村 一瞬のうちに無数の選択肢から取捨選択をしてインパクトを残さないといけません。(島田)紳助さんは現役時代、大喜利をする時には同時に3つは答えが頭に浮かぶけれど、その中で一番良さそうなものを選ぶと言っていましたね。

原田 残り2つの答えも聞いてみたいですね。他にも昔と変わった点は?

木村 10年くらい前までは「芸人なら1年365日お笑いのことばかり考えとけよ」というスタイルでしたが、最近は働き方改革やコンプライアンスなどもあって、そういう芸人は少なくなってきてますね。本社のホワイトボードがあるような部屋を借りて、パソコンを開いて「さぁ始めよう」とネタを作る子ばかりです。若手芸人でも作家が付いている子たちもいるし、僕たちの時代とは全然違います。

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