世界的大ヒット中「インサイド・ヘッド2」はディズニー&ピクサー完全復活の試金石
しかし、254億7000万円の興行収入を上げた「アナと雪の女王」は別格として、「ベイマックス」(14年)が91億8000万円、「ズートピア」(16年)が76億3000万円、「ファインディング・ドリー」(16年)が68億3000万円、「リメンバー・ミー」(17年)が50億円と、50億円超えを連発してきたディズニー&ピクサー作品としては数字の伸び悩みが解消されたわけではない。
ただコロナ禍に入ってディズニー&ピクサー作品は劇場公開をしないで、Disney+で配信するものが増えた。これによって、配信で最初に作品を見る習慣が定着。今年の3月から4月にかけて、コロナ禍の間に配信されていた「ソウルフル・ワールド」(20年)、「あの夏のルカ」(21年)、「私ときどきレッサーパンダ」(22年)が劇場で初公開され、さほど話題を呼ぶことはなかったが、コアなファンはDisney+で既に視聴していたとも推察される。
■懸念材料は…
メディアの多様化によって劇場公開の数字が作品やキャラクターの認知度に比例しない状況になってきたわけだが、これまで劇場公開時の反響の大きさを踏まえて、テーマパークのアトラクション化、実写映画化、グッズの販売など、二次使用的な展開をしてきたディズニー&ピクサー作品の人気の実態が、一般的には分かりにくくなってきたのも確か。そこに今回の「インサイド・ヘッド2」の世界的な大ヒットである。これによって劇場公開を基本とするディズニー&ピクサー作品の人気が、世界的に完全復活するのか。そして日本でも再びファミリー層を取り込んで、幅広い観客を集められるのか。その動向が気になるところである。
(映画ライター・金澤誠)