「カナダからの手紙」畑中葉子さんは今…SNSがきっかけでフォロワー数が急増

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畑中葉子さん(62歳)

 歌手やアーティストにとって、今も昔も「紅白歌合戦」はひとつの金字塔。彼らの多くが紅白出場を目標に音楽活動を続けていると言っても過言ではない。しかし、本日登場の畑中葉子さんは、デビュー曲がいきなり大ヒット、新人で紅白出場を果たした稀有な存在。その後も歌にお芝居に活躍。さて、今どうしているのか?

「企画モノで勝負するこのお店のスタイルが気に入って、今日はしゃぶしゃぶ、あさってからはカレー、だから全然飽きない。私はここでよくランチをいただいています」

 畑中さんが頻繁に訪れるというこのお店は、西武渋谷店A館8Fにある「偏愛食堂」。「オススメの人気メニューを期間限定で提供」をコンセプトにフードアナリストの坂梨カズ氏がプロデュースするダイニングプラザである。

「お店の趣旨を聞いたとき“これぞ私が求めていたものだ”ってハートをワシ掴みにされました。移り気?いやいや、多様性って言って下さい(笑い)」

 八丈島出身。中学生の頃から歌手を志すも「どうやったら歌手になれるのかわからなかった。それくらい当時の芸能界は狭き門」。

 運命の糸が急に絡まり始めたのは一家で都心に転居した時。自宅の隣の隣に住んでいたのが、偶然にも平尾昌晃氏だった。

「この頃の平尾先生は『瀬戸の花嫁』とか『よこはま・たそがれ』が大ヒットの作曲家。“これはチャンス!”って思って、庭でゴルフのパターの練習をしている先生に『こんにちはぁ』って声をかけたら『こんにちは』って返されておしまい。スカウトされなかった」

 畑中さんが「平尾昌晃音楽学校」に入校したのは高1のとき。関係性は近づいたかと思いきや「むしろ遠くなった」。大阪校や福岡校まで併設された音楽学校は、ピラミッド式の一元管理。生徒数も多く直接指導の機会は来なかった。それが、あるオーディションの最終選考に残ったことが、畑中さんの人生を変えた。

「最初は何のオーディションか聞かされてなくて、私が最終に残って初めて『先生とデュエットだから』って。『デュエット!?』つまりそれが『カナダからの手紙』だったんです」

 1978年1月10日リリース。オリコン1位。年間7位の大ヒット。カナダを訪れた観光客が3割も増加してカナダ大使館から表彰もされた。そして紅白出場の一報である。

セミリタイア状態の芸能活動を2010年に再開

「同期は石野真子さん、渡辺真知子さん、サザンオールスターズ。でも新人で紅白に出たのは真知子さんと私だけ。うれしいっていう実感より“何が起きてるの?”。ただ、はっきり覚えているのは、紅白で歌っている最中、NHKホールの2階席の端に、2年前に亡くなった父親の姿が見えたこと。“お父さん!”って、その瞬間は泣きそうになったんです」

 翌年にはソロデビューを果たすも、事務所とのトラブルもあって「逃げるように」音楽ディレクターの男性と結婚。しかし8カ月で離婚。芸能界に復帰する。

「事務所からは『今までみたいな仕事はないぞ』ってクギを刺されて、そこで来たのがセミヌード。それが好評で、程なく『にっかつロマンポルノ』からのオファーが来たんです」

 悩んだ末に引き受けた畑中さん。初主演作「愛の白昼夢」に続く2作目「後から前から」は同名の楽曲とあわせて空前の大ヒット。

「1作目が終わった直後ですよ。にっかつの幹部の方に料亭に招かれたんです。そしたら全員が『2作目もよろしくお願いします!』って私に土下座したんです。こんな小娘にですよ。あの光景は今も忘れられない。改めて仕事の厳しさを思い知りましたね」

 その後は再婚して2児の母親に。子育てと実母の介護の両立もあって、芸能活動はセミリタイア状態になってしまう。

「一段落ついて再開したのが2010年。きっかけはツイッター。今までろくにインターネットなんか触ったことがなかったんだけど、フォロワーがどんどん増えていって、いろんなオファーをいただくようになったんです。想定外でしたね」

 14年には「後から前からTシャツ」が話題を集め、あっさり完売。16年には33年ぶりとなるオリジナルアルバムを発売し、ヤン富田プロデュースによるニューバージョン「後から前から」リリースなど、SNS上の交流が畑中さんを新たな世界に導いた。

 現在は事務所に所属しない“フリーランス”として活動。今年は5月に久々のニューシングルを発売予定。また、イベントの開催計画も進行中だ。

(取材・文=細田昌志)

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