細田昌志
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細田昌志ノンフィクション作家

1971年、岡山市生まれ、鳥取市育ち。CS放送「サムライTV」キャスターから放送作家としてラジオ、テレビの制作に携わり、ノンフィクション作家に。7月に「沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修評伝」(新潮社)が、第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。

五木ひろしの光と影<10>平尾昌晃は思いつめた顔の三谷謙に声をかけた

公開日: 更新日:

 作曲家、平尾昌晃は1970年の晩秋に起きた出来事を比較的、鮮明に記憶していた。

「出場者の音合わせが終わった。それでも、まだ本番まで時間が余っている。『純ちゃん(長沢純)、どこ行ったかなあ』って捜したんだけど、彼は司会だからディレクターと打ち合わせをやっていた。仕方がないからひとりで市民会館の中の小さい喫茶店に入ったの。そしたら、さっきのめちゃくちゃうまい出場者がいるわけよ。ピチッと七三に分けて、スーツをパリッと着てるんだけど、思いつめたような顔をして座っててさあ(笑い)」

 座っていたのは三谷謙である。彼が後の五木ひろしとなって、日本の歌謡界に君臨することになろうとは、さすがの平尾昌晃もこの時点では想像もつかなかったに違いない。

 すかさず平尾は、「君、さっきリハ見てたよ。うまいねえ」と声をかけた。すると三谷はすっくと立ち上がり、「ありがとうございます」と深々と頭を下げた。

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