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大高宏雄映画ジャーナリスト

1954年浜松市生まれ。明治大学文学部仏文科卒業後、(株)文化通信社に入社。同社特別編集委員、映画ジャーナリストとして、現在に至る。1992年からは独立系を中心とした邦画を賞揚する日プロ大賞(日本映画プロフェッショナル大賞)を発足し、主宰する。著書は「昭和の女優 官能・エロ映画の時代」(鹿砦社)など。

不動の映画主演女優・吉永小百合 最新作で新境地なるか

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 吉永小百合はなぜ、長年にわたって映画の主演を続けることができるのだろうか。公開されたばかりの「最高の人生の見つけ方」を見て、改めてそのことを考えた。主演を張り続けるのは並大抵のことではない。それが可能だった他の俳優では、亡き高倉健が頭をよぎるに過ぎない。

 理由として、主に3つあるように思った。吉永自身の映画にかける凄まじいまでの熱意と確かな興行実績、加えて映画界の積極的な起用姿勢である。この3点がないと、厳しい映画の世界で主演であり続けることなどできるわけがない。

 吉永の映画への熱意は、企画立案にも携わる態度に表れる。また、今作はインタビューなどの取材を数多くこなし、宣伝面でも広範囲な動きを見せた。興行では2000年以降、興収20億円以上が4本、10億円台が5本ある。並の主演俳優では及びもつかない実績だ。

 映画界からすると、東映の岡田裕介会長や山田洋次監督が率先して吉永の起用にこだわりぬいてきた。「最高の人生――」では新たな製作陣が米国の同名作品を原案にして企画し、彼女の新境地を引き出そうとした。吉永はこれまでとは全く違った製作体制のもと、自身の演技のさらなる可能性にかけたのである。

 演じるのは、余命宣告された主婦の役。強気を見せるシーンもあるが、筆者は全体にどこか頼りなげで、時折見せる消え入りそうな立ち居振る舞いに目を見張った。この演技の境地は尋常ではない。吉永小百合はどこへ向かおうとしているのか。新作を見て、改めてその感を強くした。

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