「坂の中のまち」中島京子著

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「坂の中のまち」中島京子著

 坂中真智は大学に入学して、祖母の親友・久世志桜里の営む小日向の下宿屋に下宿することになった。

 ある日、志桜里が知人のお通夜で沖縄に行くことになり、留守を頼まれた。アメリカ人のメアリーが日本に観光旅行に来るので、西側の部屋の鍵を渡してほしいという。夕方近くにメアリー・マックニールはやってきた。彼女は作家なのだが、夫がゴーストライターをしているという噂に憤慨している。缶チューハイを飲みながら話しているうちに真智は眠ってしまう。

 目覚めると志桜里が帰っていた。志桜里の話では「メアリー・ユースチェック」が来るのは明日だと。「メアリー・マックニール」は明治のお雇い外国人フェノロサの2番目の妻の名だった。(フェノロサの妻)

 文豪の住んだ町で出合った不思議な恋の話6編。 (文藝春秋 1760円)

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