「まぼろしの女 蛇目の佐吉捕り物帖」織守きょうや著

公開日: 更新日:

「まぼろしの女 蛇目の佐吉捕り物帖」織守きょうや著

 大川で女の土左衛門があがった。身元を隠すためか、死体は裸で、髪も剃られていて、胸に一文字の古い傷痕がある。口には血まみれの三津五郎格子の切れ端をくわえていた。夜鷹が、ごろつきの滝蔵ら数人の男が女を小突き回しているのを見たという。岡っ引きの佐吉は、女の肩が硬くなっていたことから、天秤棒を担ぐ担ぎ売りではないかと考えた。

 やがて、担ぎの魚売りの勘治が昨夜から戻らないという情報が入る。勘治は三津五郎格子の小袖を着ていたという。勘治は滝蔵の仲間だったのだろうか。佐吉が勘治の身元を洗うと、20年ほど前に父親と故郷の村を出たというが、そのとき、父親が連れていたのは女の子だった。(表題作)

 駆け出しの岡っ引きと若い医者が謎を解く、時代物ミステリー5編。 (文藝春秋 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    小泉進次郎「無知発言」連発、自民党内でも心配される知的レベル…本当に名門コロンビア大に留学?

  2. 2

    クビ寸前フィリーズ3A青柳晃洋に手を差し伸べそうな国内2球団…今季年俸1000万円と格安

  3. 3

    高畑充希は「早大演劇研究会に入るため」逆算して“関西屈指の女子校”四天王寺中学に合格

  4. 4

    9日間の都議選で露呈した「国民民主党」「再生の道」の凋落ぶり…玉木vs石丸“代表負け比べ”の様相

  5. 5

    国分太一コンプラ違反で無期限活動休止の「余罪」…パワハラ+性加害まがいのセクハラも

  1. 6

    野球少年らに言いたい。ノックよりもキャッチボールに時間をかけよう、指導者は怒り方も研究して欲しい

  2. 7

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 8

    ドジャース大谷「二刀流復活」どころか「投打共倒れ」の危険…投手復帰から2試合8打席連続無安打の不穏

  4. 9

    28時間で150回以上…トカラ列島で頻発する地震は「南海トラフ」「カルデラ噴火」の予兆か?

  5. 10

    自転車の歩道通行に反則金…安全運転ならセーフなの? それともアウト?