(74)本日、江戸で一番新しい本屋に
初霜が降りたその日、蔦重は「蔦屋耕書堂」の看板を掲げた。富士山形に蔦の葉の商標がまばゆい。拍手と歓声が高く蒼い空に響く。
「ありがとうございます」
蔦重、面映ゆそうに頬を綻ばせ、深々と礼をする。朋誠堂喜三二が看板をみあげた。
「重政の筆跡、見事だな」
…
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