「DV8 台北プライベートアイ2」紀蔚然著、舩山むつみ訳

公開日: 更新日:

「DV8 台北プライベートアイ2」紀蔚然著、舩山むつみ訳

 元劇作家にして大学教授という異色の経歴を持つ私立探偵・呉誠が活躍する「台北プライベートアイ」シリーズ第2弾。本作では、台北から郊外の淡水に居を移した呉誠が、美人店主エマが経営する「DV8」というバーに根を下ろしつつ、そこで出会った人々から持ち込まれた事件を解決していく。

 呉誠に会いにDV8にやってきた何琳安は、自身のパニック症候群の発作の原因を探るうちに幼少期にある事件現場に居合わせた際に助けてくれた男の子のことを思い出したことを語り、名前も覚えていない彼を捜してほしいと依頼。呉誠は、男の子を捜すべく彼女が遭遇した事件について調べるうちにとんでもない事実に行きあたる。さらに呉誠がすっかり惚れてしまったエマにも思わぬ騒動が持ち上がり、彼女にいいところを見せようと解決に乗り出すのだが……。

 教養がありつつ心理的には繊細で、クールを装いつつも実は人一倍情が深い主人公が魅力的。エマとの恋の行方も読みどころだ。

 90年代から変化の激しかった台湾事情も描写しており、台湾に興味がある人にもおすすめだ。

 (文藝春秋 2200円)

【連載】木曜日は夜ふかし本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    早期・希望退職の募集人員は前年の3倍に急増…人材不足というけれど、余剰人員の肩叩きが始まっている

  2. 2

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「負傷者リスト入り」待ったなし…中5日登板やはり大失敗、投手コーチとの関係も微妙

  4. 4

    低迷する「べらぼう」は大河歴代ワースト圏内…日曜劇場「キャスター」失速でも数字が伸びないワケ

  5. 5

    巨人秋広↔ソフトBリチャード電撃トレードの舞台裏…“問題児交換”は巨人側から提案か

  1. 6

    田中圭が永野芽郁と密会していた“妻公認”の仕事部屋…警戒感緩むもバレやすい不倫の痕跡

  2. 7

    朝ドラ「あんぱん」教官役の瀧内公美には脱ぎまくった過去…今クールドラマ出演者たちのプチ情報

  3. 8

    TBSのGP帯連ドラ「キャスター」永野芽郁と「イグナイト」三山凌輝に“同時スキャンダル”の余波

  4. 9

    河合優実「あんぱん」でも“主役食い”!《リアル北島マヤ》《令和の山口百恵》が朝ドラヒロインになる日

  5. 10

    キンプリが「ディズニー公認の王子様」に大抜擢…分裂後も好調の理由は“完璧なシロ”だから