「言語化の魔力」 樺沢紫苑著

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 近頃ウダウダと悩むことがなくなった。本書の悩み解消法を実践しているからだ。精神科医の著者は、「停滞」こそが悩みの本質と分析。そして、足踏み状態から一歩でも前に進むために役立つ方法が、悩みの言語化だという。

 例えば、毎年12月は仕事が前倒しになる怒涛(どとう)の年末進行で、心身ともにダメージを受けていた。頭の中で「仕事が思うように進まない」→「なぜ?」→「4件の納期がかぶっているから」→「じゃあどうする?」→「わからん!」となり、ストレスもため込んでいた。人間のワーキングメモリーは不安や緊張や脳疲労によって減少するため、思考が進まなくなるのだという。

 そこで今年は、悩みをノートに書いてみた。言語化とは言葉で話すだけでなく、文字にして書き出すことも同等の価値を持つという。すると、「じゃあどうする?」の後がクリアになった。「一番近い納期は?」→「A社で1週間後」→「ならばA社を最優先に」→「しかしA社担当の〇〇君が苦戦している」↓「ならばサポートに△△君をつけよう」といった具合だ。

 言語化はさまざまな悩みに有効だ。取引先に叱責などされようものならしばらく引きずっていたが、そんなときは「いつの悩みか」を言語化した。すると、「叱責されたのは?」→「昨日の午後。今から18時間前の出来事」→「もう終わったこと。今悔やんでも仕方ない」→「今できることは?」→「新しい提案書を作るために関連の書籍をポチろう」と、取るべき行動が見えてきた。

 寝る前に今日の楽しかった出来事だけを1行ずつ3つ書き出す「ポジティブ3行日記」など、言語化によるネガティブ思考の改善方法も紹介。言語化の威力、すごいぞ。 〈浩〉

(幻冬舎 1760円)

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