「中央線がなかったら 見えてくる東京の古層」陣内秀信、三浦展編著

公開日: 更新日:

 東京を考えるとき、その存在感ゆえに東西にまっすぐ横断するJR中央線を大前提にしがちである。

 しかし、それが沿線地域や、東京全体の基本構造を見えなくしていると著者らはいう。

 山手線の内側の古代や中世の痕跡は、江戸の都市空間に埋没してその存在がよく見えないが、杉並区や武蔵野、多摩には近世の都市がほとんどなかったゆえに、地形などの自然条件と結びついた古代や中世の要素がすぐ見つかる。そうした中央線沿線の街々を歩き、川や湧き水、神社、古道などを手掛かりに、各地域の江戸以前の古代・中世の世界を探っていく街歩きエッセー。

 まずは神田川沿いに発展した地域を訪ね、新宿から中野方面へ。以後、高円寺、阿佐ケ谷、国分寺、府中と歩き、街の見えない歴史に目を凝らす。

(筑摩書房 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    スタンフォード大・麟太郎のメジャースカウト評価は課題山積…ド軍指揮官からも耳の痛いアドバイス

  2. 2

    大谷が2026年WBCを辞退する可能性…二刀流継続へ「右肘3度目手術」は絶対避けたい深刻事情

  3. 3

    W杯8強へ森保J「5人の重要人物」 頭痛の種は主将・遠藤航の後継者…所属先でベンチ外危機

  4. 4

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  5. 5

    悠仁さまは学習院ではなぜダメだった?大学進学で疲弊する宮内庁職員「もうやめたい」と悲鳴

  1. 6

    阪神岡田監督の焦りを盟友・掛布雅之氏がズバリ指摘…状態上がらぬ佐藤輝、大山、ゲラを呼び戻し

  2. 7

    巨人「助っ人野手の獲得下手」汚名返上できた納得の理由…今年はなぜ2人とも“当たり”?

  3. 8

    大阪府の8割の小売店でコメ品切れ発生だが…吉村知事「備蓄米放出しろ」が腑に落ちないワケ

  4. 9

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 10

    巨人・坂本勇人は《潔くユニホーム脱ぐべき》低迷でも“1年延命”で現役続行か