北上次郎
著者のコラム一覧
北上次郎評論家

1946年、東京都生まれ。明治大学文学部卒。本名は目黒考二。76年、椎名誠を編集長に「本の雑誌」を創刊。ペンネームの北上次郎名で「冒険小説論―近代ヒーロー像100年の変遷」など著作多数。本紙でも「北上次郎のこれが面白極上本だ!」を好評連載中。趣味は競馬。

「死人街道」ジョー・R・ランズデール著 植草昌実訳

公開日: 更新日:

 ジョー・ランズデールの略歴に、ホラー、SF、ウエスタン、ミステリーと、幅広いジャンルで活躍、とあったことを思い出す。ランズデールはアメリカの作家だが、アメリカ探偵作家クラブの最優秀長編賞を受賞した「ボトムズ」の印象が強いので、他のジャンルに手を出してはいても、やっぱりミステリー作家でしょ、と考えていた。

 ところが本書の著者紹介欄を見ると、ホラー作家協会が主催するブラム・ストーカー(周知のように、「吸血鬼ドラキュラ」の作者だ)賞を8度受賞、とある。おやおや、8度も受賞しているのか。ということは、むしろこちらが本線なのかも、という気がする。本書を読むと、さらにそのことを実感する。

 5編を収録した作品集である。主人公は、牧師のジェビダイア・メーサー。ただの牧師ではない。二丁拳銃のガンマンでもある。彼は邪悪なものを滅ぼすために荒野を旅しているのである。舞台となる西部も、普通の西部ではなく、化け物たちが跋扈(ばっこ)する世界。ようするに「魔界西部劇」だ。著者紹介にウエスタンとホラーとあったことを想起する。つまり本書は著者が得意とする2つのジャンルを融合させたというわけである。

 ホラーもウエスタンも、それほど好きではない読者がいるかもしれないので、付け加えておく。実はこれ、凄まじいアクション小説でもあるのだ。特に、冒頭の中編「死屍の町」がすごい。この迫力に一票を入れる!

(新紀元社 2200円)

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新のBOOKS記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    小室圭さんは一度は「婚約辞退」を考えた 内定会見後のお食事会から“異変”が…

    小室圭さんは一度は「婚約辞退」を考えた 内定会見後のお食事会から“異変”が…

  2. 2
    松坂大輔“第二の人生”は妻の古巣「日テレ」で解説者デビューか 古参の江川卓はお払い箱に…

    松坂大輔“第二の人生”は妻の古巣「日テレ」で解説者デビューか 古参の江川卓はお払い箱に…

  3. 3
    飯野矢住代誕生秘話<15>予定日より2カ月も早く出産…男児は呼吸困難に陥り重篤な状態に

    飯野矢住代誕生秘話<15>予定日より2カ月も早く出産…男児は呼吸困難に陥り重篤な状態に

  4. 4
    しつこい!高市早苗氏だらけの“あおり”ネット広告に批判噴出…党則違反の可能性、自民党本部の回答は

    しつこい!高市早苗氏だらけの“あおり”ネット広告に批判噴出…党則違反の可能性、自民党本部の回答は

  5. 5
    スーパーマラドーナ 新しい相方に「一緒やんけ!」とツッコミましたが…

    スーパーマラドーナ 新しい相方に「一緒やんけ!」とツッコミましたが…

もっと見る

  1. 6
    広島・森下いまだ後半戦0勝 からっきしダメな原因は女房役・会沢との相性にアリ

    広島・森下いまだ後半戦0勝 からっきしダメな原因は女房役・会沢との相性にアリ

  2. 7
    <55>苦しんで暴れて死んだ愛犬イブに動物病院は「老衰」と診断

    <55>苦しんで暴れて死んだ愛犬イブに動物病院は「老衰」と診断

  3. 8
    伊集院光パワハラ疑惑に驚愕…誰しも年を取れば存在自体が“ハラスメント”になる

    伊集院光パワハラ疑惑に驚愕…誰しも年を取れば存在自体が“ハラスメント”になる

  4. 9
    米国の葬儀社トラックに「ワクチンを打たないで」の文言が…その真意は?

    米国の葬儀社トラックに「ワクチンを打たないで」の文言が…その真意は?

  5. 10
    「ポスト水卜麻美」岩田絵里奈アナに有名俳優との“黒歴史”

    「ポスト水卜麻美」岩田絵里奈アナに有名俳優との“黒歴史”

人気キーワード