「日没」桐野夏生著

公開日: 更新日:

 エッチ小説家マッツ夢井こと松重カンナに、「総務省文化局・文化文芸倫理向上委員会」から「召喚状」が来た。読者からの提訴に関する審議を行う審議会に出席しなかったので、出頭を要請する、というのだ。ほっといたら、携帯に電話がかかってきた。以前、療養所があった施設で講習を受けろという。

 着いたのは有刺鉄線の塀に囲まれた病院のような建物。カンナは210号室に入れられ、B98と呼ばれることに。ここで自分の作品の問題点を認識し、訓練によって直されるまで帰れないと言い渡された。レイプや暴力、犯罪を肯定するのでなく、社会に適応した作品を書け、と。これは国家権力の嫌がらせだ。

「表現の自由」のない近未来社会の恐怖を描く。

(岩波書店 1800円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    (1)長嶋茂雄氏の「逆転巨人入り」は、銚子の料亭旅館の仲居さんの一言から始まった

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(17)病室のTVで見た山口百恵に衝撃を受け、4年間の移住生活にピリオド

  3. 3

    佐藤輝明&森下翔太の覚醒で阪神「歴史的大記録」達成の予感…実現すれば40年ぶりの快挙

  4. 4

    今秋ドラフトで割食う巨人…“恋人”の創価大・立石正広が「ミスターの後継者」候補と評価急上昇

  5. 5

    長嶋茂雄さんの「まさかの一言」で高級ブランドショップ店員は素っ頓狂な声をあげ目を白黒させた

  1. 6

    北川景子が味わった二度の挫折 仕事の間にロケバス内の猛勉強で明治大商学部に合格した努力家

  2. 7

    三山凌輝がNYライブで復帰もファン真っ二つ…プロデューサーSKI-HIの“1億円頂き男子”擁護は正解か

  3. 8

    「こっちのけんと」の両親が「深イイ話」出演でも菅田将暉の親であることを明かさなかった深〜いワケ

  4. 9

    亡き長嶋茂雄さんの長男一茂は「相続放棄」発言の過去…身内トラブルと《10年以上顔を合わせていない》家族関係

  5. 10

    巨人「松井秀喜監督」は完全消滅か、可能性あるか…恩師・長嶋茂雄さんは誰よりも願っていた