「ディレイ・エフェクト」宮内悠介著

公開日: 更新日:

 2019年の東京。年明け元日から奇妙な現象が起こり始めた。それは、1944年、75年前の東京が可視化され、現実世界の進行と連動し始めたのだ。

 場面は主人公の家。茶の間と重なり合ったリビングのソファに、半透明のちゃぶ台が写りこんでいる。座っているのは曽祖父。読んでいる新聞には大戦中の北支の戦闘の模様が掲載されている。台所には曽祖母、彼女は45年3月10日の東京大空襲で焼死することになっている。

 こうした状況に、妻と娘は次第に病みはじめ、疎開することに。一人残された男は幻の吹雪の中、オフィスでそのときを待つ。そして3月10日、妻から手紙が届く。そこには驚くような疎開の理由が書かれていた。

 芥川賞候補になった短編集。ほかに「空蝉」「阿呆神社」の2編を収録。(文藝春秋 1450円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希の「豹変」…記者会見で“釈明”も5年前からくすぶっていた強硬メジャー挑戦の不穏

  2. 2

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  3. 3

    石丸伸二氏に若者支持も「上司にしたくない?」…妻や同級生の応援目立った安野貴博氏との違い

  4. 4

    介護保険証も紙廃止→マイナ一本化へ厚労省方針…業界から案の定あがった「時期尚早」の声

  5. 5

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  1. 6

    マイナンバー「1兆円利権」山分け 制度設計7社と天下り官僚会員限定記事

  2. 7

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  3. 8

    なぜ大谷はチャンスに滅法弱くなったのか? 本人は力み否定も、得点圏での「悪癖」とは

  4. 9

    石丸伸二現象の古臭さ…NHK“新たな選挙戦”とヨイショも「強い言葉」「メディア攻撃」に既視感

  5. 10

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪