暴発した内部告発 CEOは“自己保身”のために独裁者を切った

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 次に西川にはクーデターを起こす必然性がない。告発すればゴーンだけでなく、日産も法的責任を問われる。当然、社長の西川も無傷では済まない。そんなリスクを冒してまで西川がゴーンを切りにかかるだろうか?

 ゴーンが西川の更迭を検討したため、クーデターに踏み切ったとの報道もあった。だが、解任されたとしても副会長などそれなりのポストと待遇は得られるはずだ。成功しても得るものが少ないクーデターに、西川が踏み切るとは考えにくい。

 西川が義憤に駆られ、日産を守るために刺し違え覚悟でクーデターを起こした可能性もある。だとすれば、最初の会見で「ポスト・ゴーン体制が固まり次第、社長を辞任する」と表明するのが最良の「定跡」だろう。

 考えられるのは、社員の内部告発という「暴発」が引き金になった「駆け込みクーデター」である。「内部告発を止められない」と悟った西川が「共犯にされるのは御免」と、「暴発」に便乗したのではないか。つまり、西川は「自己保身」のためにゴーンを切ったということになる。そう考えれば、不可解な行動のつじつまは全て合う。

 こうした「自己保身」こそ、ゴーンが日産を腐食させた原点だ。ゴーンは「子飼いに裏切られた」のではない。まさに「自分の正統な後継者を育てた」のである。 =おわり

(経済ジャーナリスト・井上学)

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