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五木寛之 流されゆく日々

1932年福岡県生まれ。早稲田大学露文科中退。66年「さらばモスクワ愚連隊」で第6回小説現代新人賞、67年「蒼ざめた馬を見よ」で第56回直木賞。76年「青春の門 筑豊篇」ほかで第10回吉川英治文学賞を受賞。2002年には第50回菊池寛賞を受賞。NHKラジオ深夜便「歌の旅人」、BSフジ「五木寛之『風のcafe』」放送中。日刊ゲンダイ本紙連載「流されゆく日々」はギネス記録を更新中で、16年9月5日に連載10000回を迎えた。著書に「風の王国」「大河の一滴」「他力」ほか、「親鸞」三部作など多数。

連載10447回 競馬にまつわる記憶 <1>

 このところ昔の事をあれこれと思い出そうとつとめている。回想という心のはたらきの大事さを、つくづく感じるようになってきたからだ。
 年を重ねてくると、自然に体が不自由になってくる。80歳、90歳でもジョギングをするような元気な老人もいるが、そういう人は例外だろう。
 体の節ぶしが痛んだり、動作が不自由になるのは、自然のことだ。筋肉量も落ち、足早やに歩くことさえままならない。加齢によるフィジカルな退化を、いまさらどうにかしようとは思わない。せめてそろそろと、大事に動いて、転んだりしないように気をつけるだけだ。
 そんな高齢期は、必ず誰にでも訪れてくるのだ。ゴルフやテニスをやれなくなったら、どうするか。
 そこはやはり内面を充実させて、日々を過ごすしかない。人生百年時代ともなれば、ほぼ60歳から90歳あたりまでの長丁場がその時期だ。

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