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【白魚の卵とじ】上品なうまさがジュワッ

はち巻岡田(東京・銀座)

 江戸の名物料理にドジョウがある。身を開かず、丸ごとを鍋で甘じょっぱく煮込む。これが庶民のスタミナ食だ。卵でとじた柳川鍋も、専門店ではおなじみのメニューである。

 そんな下町の夏の定番メニューを春らしい料理に仕立て直したのが、この一品。春に産卵の時期を迎える白魚は、早春の味覚として知られる。身はふっくらと軟らかくてクセがない。そこが風味の強いドジョウとの違いだろう。

 素材が違えば、味付けも変わるもの。白魚の柳川風は、うまいダシで食べる。醤油は、ほんの香りづけ。スプーンやレンゲを使って、ダシのうま味をたっぷり吸った白魚と卵を一緒にすくって口に運ぶと、上品なうまさがジュワッと一面に広がるのだ。

「江戸といえばドジョウだけど、最近はいいのが入りにくいですからね。やっぱり料理は素材が大事。旬のいい素材で作れば、全然違いますよ」

 自宅で作るときは、やはり、昆布とカツオでダシを引きたいところである。

《材料》
・白魚
・卵
・ダシ
・酒
・醤油
・塩   (それぞれ適量)

《レシピ》
(1)ダシに酒、醤油、塩を各少々加える。
(2)小鍋に白魚を並べ、全体が浸るぐらいに①の汁を注ぎ、火にかける。
(3)白魚に火が通ったら溶き卵を全体にかけ、火を止めて、少しふたをする。
(4)ふたを取って三つ葉を飾る。

今日の達人 岡田幸造さん

▽おかだ・こうぞう
 1959年、東京都生まれ。慶応義塾大卒。新橋の料亭「松山」で修業したのち、86年から2代目の父・千代造と一緒に厨房に入る。祖父・庄次が築いた江戸の味を守りながら、挑戦も続けている。

▼はちまきおかだ
 1916(大正5)年に京橋区尾張町(現・銀座5丁目)で開業。昨年10月、創業101年を迎えた。水上瀧太郎、久保田万太郎、川口松太郎、吉田健一、山口瞳ら多くの文人に愛されてきた銀座の老舗。戦争や都市計画のあおりで、1968(昭和43)年に現在の地に移転した。
中央区銀座3―7―21
℡03・3561・0357

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