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「ゆとり世代はなぜ転職をくり返すのか?」福島創太著

 春4月の入社シーズンで気になるのが、管理職世代のバブル組と新入社員のゆとり組の相性だ。



 厚労省の調べによれば大学卒業後3年以内の離職率が何と32・2%。ゆとり世代の労働観を表す衝撃の数字として有名だ。

 この世代は早くからキャリア教育を受けるため、学生時代から就職後もずっと「自分らしいキャリア」を模索するという。実は著者自身も1988年生まれのゆとり世代。世代論が当事者から語られるのは意外に少ないが、著者はリクルートを退社して大学院に入り、キャリア教育のプロとして働きつつ研究も続けている。

 現代の転職の背景には終身雇用型の「伝統的キャリア志向」から自己実現や自己防衛の「自律的キャリア志向」への変化がある。また後者には「意識高い系」と「ここではないどこか系」がある、など複雑なデータを巧みな分類でわかりやすく解説する。

 マイペースで自己中と見られがちなゆとり世代だが、実は社会の側も何かといえば自己責任論を押しつけて彼らを動かしている面もあるのだ。

(筑摩書房 860円+税)

「バブル入社組の憂鬱」相原孝夫著

 バブル期に大量採用されたサラリーマンの評判がすこぶる悪い。「職場のお荷物、なのに給料は高い」が通り相場で、部下にも「うちの上司、使えねー」と言われる。言う側は就職氷河期の厳しい時代に入社した「氷河期世代」。そのまた部下が「ゆとり世代」。この3世代の関係を人事コンサルタントが種々のデータから読み解くのが本書だ。

 バブル世代は見えっ張りで依存心が強く、50代にもなるのに自分本位の「子ども社員」体質が強いという。また自己認識が甘いため周囲の冷たい目線にも鈍感だが、新人時代と社会環境があまりに違うため「自己不全感」も強い。だが、コミュニケーション能力が高いのでゆとり世代との相性はいいのも事実だと指摘する。

(日本経済新聞出版社 850円+税)

「二十一世紀の若者論」小谷敏著

 1990年代以降、現代までの「若者論」について、計9人の社会学者がそれぞれ論じた論集。

 冒頭から「ブルセラ・援交」論やオウム批判で一世を風靡した宮台真司の「若者論パフォーマー」ぶりを鋭く分析する。

 宮台氏は社会システム論を仕立て直し、「朝まで生テレビ!」を舞台に並み居る論客を徹底的に叩く「情報戦」を仕掛け、「高偏差値系の文系男子大学生」たちを魅了した。「朝まで」の番組の中から次代を担う研究者も輩出したが、罵倒しながら社会を啓蒙する「積極的なニヒリズム」はいまや消え失せ、現状肯定の「単なるシニシズム」を売り物にする古市憲寿のような「御用学者」も生み出したという。

「スクールカースト」論、「オタク」論、「ヤンキー」論などの各章も読みごたえがある。

(世界思想社 2500円+税)

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